多くの喫茶店やカフェの塩入れの中に、なぜかコーヒー豆が入っているのを見かけたことはありませんか?特にコメダ珈琲店などの人気チェーン店では、テーブルに置かれた塩の容器の中にコーヒー豆が数粒入っているのが定番となっています。これは単なる装飾ではなく、実は塩が固まるのを防ぐ効果的な方法なのです。
また、塩とコーヒーの組み合わせは意外にも古くから世界各地で愛されてきました。エチオピアやカリブ海地域では伝統的にコーヒーに少量の塩を加える飲み方が存在し、近年では塩珈琲豆大福や塩カフェオーレなど、塩とコーヒーを融合させた斬新なスイーツも登場しています。本記事では、塩とコーヒー豆の意外な関係性や活用法について詳しく解説していきます。

記事のポイント!
- 塩の容器にコーヒー豆を入れる本当の理由と科学的な効果
- コメダ珈琲店など喫茶店での塩とコーヒー豆の使われ方
- 家庭でも実践できる塩とコーヒー豆を使った湿気対策
- 塩とコーヒーを組み合わせた世界の飲み方やスイーツレシピ
塩の中にコーヒー豆を入れる理由と効果
- 塩にコーヒー豆を入れると湿気を吸収して固まりにくくなる
- コメダ珈琲店の塩入れにコーヒー豆が入っている目的は乾燥剤として
- コーヒー豆の代わりに米を入れている店もある理由
- 塩の乾燥剤としてコーヒー豆が効果的な仕組み
- 塩がサラサラになる期間はコーヒー豆の量や環境によって異なる
- 家庭でも簡単にできる塩とコーヒー豆の活用法
塩にコーヒー豆を入れると湿気を吸収して固まりにくくなる
塩は非常に吸湿性が高い性質を持っています。空気中の水分を吸収しやすいため、そのまま放置しておくと次第に塊になってしまいます。特に梅雨の時期や湿度の高い環境では、塩がカチカチに固まってしまうことも珍しくありません。
この問題を解決するために、古くから喫茶店やカフェでは塩入れの中にコーヒー豆を入れる工夫がされてきました。コーヒー豆には塩の水分を吸い取る性質があり、乾燥剤として機能するのです。独自調査の結果、コーヒー豆を入れることで塩はサラサラの状態を長く保つことができることがわかりました。
実際に塩の吸湿性がどれほど強いかは、ナメクジに塩をかけるとナメクジの水分を吸い取って消えてしまう現象からも理解できます。そのくらい塩は水分を強く引き寄せる性質を持っているのです。しかし、コーヒー豆を入れることで、塩よりも先にコーヒー豆が湿気を吸収してくれます。
コーヒー豆は適度な多孔質構造を持っており、その表面積の広さから効率よく湿気を吸収することができます。また、コーヒー豆自体が本来持っている油分も、湿気から塩を守る保護膜のような役割を果たしていると考えられています。
ただし、コーヒー豆自体も限界まで湿気を吸収すると効果がなくなるため、定期的に新しいコーヒー豆に交換する必要があります。目安としては、湿度の高い季節では1〜2週間に一度程度の交換が望ましいでしょう。
コメダ珈琲店の塩入れにコーヒー豆が入っている目的は乾燥剤として
コメダ珈琲店を利用したことがある方なら、テーブルに置かれた塩入れの中にコーヒー豆が入っているのを見たことがあるでしょう。これはコメダ珈琲店だけでなく、多くの喫茶店で見られる光景です。
コメダ珈琲店では、ゆで卵を提供する「モーニング」が人気メニューとなっています。お客様がこのゆで卵に塩を振りかけて食べるため、各テーブルに塩入れが設置されています。しかし、お湯で茹でた熱々の卵から出る蒸気や店内の湿気により、塩入れの中の塩が固まりやすくなるという問題がありました。
独自調査によると、コメダ珈琲店のスタッフは塩が詰まらないよう対策として、電子レンジで温めて湿気を飛ばした後、乾煎りしたコーヒー豆を入れるという方法を実践しているようです。これにより、お客様が使いやすい状態の塩を提供することができています。
しかし、繁忙期には塩入れのメンテナンスが追いつかず、常連客からクレームが入ることもあるようです。特に湿度の高い時期には、翌日にはもう湿気ている場合もあり、スタッフは頻繁に塩入れのメンテナンスを行う必要があります。
コメダ珈琲店の塩入れに入っているコーヒー豆は、単なる見た目の演出ではなく、実用的な目的を果たしています。コーヒー専門店ならではの、手元にあるコーヒー豆を有効活用した知恵と言えるでしょう。
コーヒー豆の香りが塩に移ることを心配する声もありますが、実際には乾燥した豆からは強い香りが出ないため、塩の味に影響することはほとんどないようです。
コーヒー豆の代わりに米を入れている店もある理由
コーヒー豆が塩の乾燥剤として効果的ですが、すべての喫茶店やカフェがコーヒー豆を使用しているわけではありません。独自調査によると、一部の店舖では米を乾燥剤として使用しているケースもあることがわかりました。
米を使用する主な理由として考えられるのは、コストと入手のしやすさです。コーヒー専門店ではない飲食店では、常にコーヒー豆が手元にあるとは限りません。その点、米は多くの飲食店で常備されている食材であり、簡単に調達できるという利点があります。
また、米の吸湿性もコーヒー豆に負けず劣らず高いことが知られています。米は古くから日本の湿気の多い気候の中で、湿気から守るための知恵として様々な場面で活用されてきました。例えば、塩入れだけでなく、塩振り(調味料入れ)の中に米を入れることで、塩の固まりを防ぐ方法は家庭でも広く実践されています。
さらに、米は白色であるため、白い塩の中に入れても目立ちにくいという利点もあります。コーヒー豆の黒色は視覚的に目立つため、料理の見た目を重視する店舗では、あえて目立たない米を選択することもあるでしょう。
しかし、すべての店舗が米やコーヒー豆を使用しているわけではありません。中には「セラミックか何か湿気を取るのでできたアルファベットの小さいの」など、専用の乾燥剤を使用している店舗もあるようです。こうした専用の乾燥剤は効果が長続きする反面、食品ではないため誤飲の恐れから注意が必要です。

塩の乾燥剤としてコーヒー豆が効果的な仕組み
塩の乾燥剤としてコーヒー豆が効果的に機能する仕組みには、科学的な根拠があります。コーヒー豆の構造と性質が、なぜ塩の湿気取りに適しているのか詳しく見ていきましょう。
コーヒー豆は焙煎過程で内部に多くの微細な穴が形成されます。この多孔質構造により、表面積が非常に大きくなり、周囲の湿気を効率よく吸収することができるのです。焙煎度合いによっても吸湿性は変わり、一般的に深煎りのコーヒー豆ほど細胞壁が壊れて多孔質になるため、より高い吸湿効果が期待できます。
また、コーヒー豆に含まれる油分も重要な役割を果たしています。焙煎されたコーヒー豆の表面には油分が浮き出ていますが、この油分が疎水性の膜となり、一度吸収した水分が再び外に出ていくのを防ぐ役割をしています。つまり、コーヒー豆は「水分を吸収して閉じ込める」という二段階の機能で乾燥剤として効果を発揮しているのです。
さらに、コーヒー豆は塩と直接反応しにくい性質も持っています。塩は強い吸湿性がある一方で、吸収した水分によって周囲の物質と化学反応を起こすこともあります。しかし、コーヒー豆は比較的安定した物質であり、塩との間で有害な反応を起こす心配が少ないのです。
こうした特性から、コーヒー豆は食品として安全でありながら、効果的な乾燥剤として機能します。また、使用後のコーヒー豆は一般的な生ごみとして処分できるため、環境にも配慮した方法と言えるでしょう。
ただし、長期間使用していると効果が薄れるため、定期的な交換が必要です。特に湿度が高い環境では、コーヒー豆自体も湿気を多く含むようになり、乾燥剤としての機能が低下します。
塩がサラサラになる期間はコーヒー豆の量や環境によって異なる
塩入れにコーヒー豆を入れた場合、どのくらいの期間塩がサラサラの状態を保つことができるのでしょうか。この期間は、コーヒー豆の量や保管環境によって大きく変わってきます。
コーヒー豆の量が多いほど、吸湿できる総量も増えるため効果が長く続きます。一般的な家庭用の小さな塩入れであれば、コーヒー豆5〜10粒程度で効果が期待できますが、店舗で使用する大きな容器の場合は、それに応じてコーヒー豆の量も増やす必要があります。
保管環境も重要な要素です。湿度の高い場所に置かれている場合、コーヒー豆が吸収できる湿気の量を早く超えてしまいます。独自調査によると、コメダ珈琲店のような飲食店では、湯気の多い環境のため、コーヒー豆を入れても翌日には塩が湿気てしまうケースもあるようです。
一方、一般家庭のキッチンや食卓で使用する場合は、比較的乾燥した環境であれば、1〜2週間程度は効果が持続すると考えられます。特に冬場の乾燥した時期であれば、1ヶ月近く効果が続くこともあるでしょう。
塩がサラサラになるスピードも環境によって異なります。すでに固まってしまった塩にコーヒー豆を入れても、すぐには効果が現れません。固まった塩をほぐし、乾燥させてからコーヒー豆を入れると効果的です。KOICHIRO COFFEEのカフェ日記によると、固まった塩にコーヒー豆を入れることで乾燥し、サラサラになるという効果が報告されています。
また、塩入れの素材や密閉性も影響します。ガラス製の密閉性の高い容器であれば、外部からの湿気の侵入を防ぎやすく、コーヒー豆の効果も長続きします。逆に、プラスチック製の密閉性の低い容器では、効果が短期間で失われる可能性があります。
家庭でも簡単にできる塩とコーヒー豆の活用法
ここまで見てきたように、塩の固まりを防ぐためにコーヒー豆を活用する方法は、家庭でも簡単に実践できます。ここでは、具体的な活用法と注意点をご紹介します。
まず、家庭で実践する場合の基本的な手順です。固まりやすい塩(食卓塩、岩塩など)を清潔で乾燥した容器に入れ、そこに乾燥したコーヒー豆を数粒加えるだけです。コーヒー豆の量は容器のサイズによりますが、小さな塩入れなら5〜10粒、大きめの保存容器なら15〜20粒程度が目安となります。
使用するコーヒー豆については、すでに抽出に使用した後の豆でも効果があります。ただし、その場合は水分をしっかり飛ばすために、オーブンで軽く焼くか、フライパンで乾煎りするとより効果的です。未使用の豆を使う場合は、深煎りの豆の方が多孔質構造が発達しているため、吸湿効果が高いとされています。
注意点としては、コーヒー豆と塩が直接接触するため、まれに塩にコーヒーの香りが移ることがあります。香りに敏感な料理に使う塩の場合は、コーヒー豆を布や不織布に包んでから入れるという工夫も有効です。
また、コーヒー豆の代わりに、家庭にある米や大豆、ピーナッツなども代用品として使えます。特に米は日本の家庭では常備されている食材なので、すぐに試せる方法でしょう。ただし、ピーナッツなどは油分が多いため、長期保存には向かない場合があります。
定期的なメンテナンスも重要です。コーヒー豆が湿気を吸って効果がなくなったら、新しいものと交換しましょう。目安としては、梅雨時期は2週間に1度、それ以外の季節は1ヶ月に1度程度の交換が推奨されます。
さらに、塩入れだけでなく、砂糖や小麦粉など他の粉末状の調味料や食材の保存にも同様の方法が活用できます。特に湿気に弱い食材ほど、この方法の恩恵を受けやすいでしょう。
塩とコーヒー豆を活用した美味しい飲み物やスイーツ

- エチオピア発祥の塩コーヒーは酸味や苦味が和らぐ飲み物
- 塩コーヒーの作り方は豆の選び方と塩の量がポイント
- 世界各国に存在する塩を入れるコーヒーの飲み方いろいろ
- 塩珈琲豆大福は仙台発の和と洋が融合したスイーツ
- 対馬の塩カフェオーレはミネラル豊富な塩が特徴
- 塩とコーヒーを組み合わせたその他のスイーツやレシピ
- まとめ:塩とコーヒー豆の意外な組み合わせが生み出す効果と美味しさ
エチオピア発祥の塩コーヒーは酸味や苦味が和らぐ飲み物
コーヒー豆が塩の乾燥剤として使われる一方で、逆にコーヒーに塩を加える飲み方も世界各地に存在します。その代表的なものが「塩コーヒー」です。これはエチオピア発祥の伝統的な飲み方で、コーヒーに少量の塩を加えることで、味わいが大きく変わる興味深い飲み物です。
エチオピアには「コーヒーセレモニー」と呼ばれるコーヒーの作法が存在します。日本の茶道に似たこのもてなしの作法では、2杯目のコーヒーに塩を入れて飲むのが伝統となっています。なぜ塩を入れるようになったのかについては、エチオピア産のコーヒー、特にモカ・シダモが持つ強い酸味を和らげるためという説があります。
塩コーヒーの最大の特徴は、コーヒー本来の苦味や酸味が和らぎ、まろやかな風味になることです。これは「抑制効果」と呼ばれる味覚の現象によるものです。人間の味覚には、酸味、苦味、旨味、甘味、塩味の5つの種類があります。これらのうち2つの味覚を同時に感じた場合、どちらか片方の味覚が弱くなるという現象が起こります。
コーヒーに塩を加えた場合、塩味と酸味、塩味と苦味という組み合わせが生まれます。塩の持つ抑制効果により、コーヒーの酸味や苦味が抑えられ、結果的にマイルドでやわらかい味わいになるのです。これにより、通常のコーヒーでは強すぎると感じる苦味や酸味が気になる人でも、比較的飲みやすくなります。
特に高品質なスペシャルティコーヒーでは、酸味が強調されることも多いので、そういったコーヒーを飲む際に少量の塩を加えることで、よりバランスの取れた味わいを楽しむことができます。また、長時間火にかけて煮詰まったコーヒーなど、苦味が強くなりすぎたものも、塩を加えることで救済できる可能性があります。
塩コーヒーの作り方は豆の選び方と塩の量がポイント
塩コーヒーを美味しく作るためには、コーヒー豆の選び方と塩の量が重要なポイントとなります。ここでは、自宅で簡単に試せる塩コーヒーの作り方と、その際のコツをご紹介します。
まず、コーヒー豆の選び方から考えてみましょう。塩コーヒーに適したコーヒー豆としては、発祥の地であるエチオピアのモカ・シダモがおすすめです。モカ・シダモは酸味が特徴的なコーヒーであり、塩を加えることでその酸味がまろやかになり、味わいに変化が生まれます。同様に、酸味が特徴的なキリマンジャロやハワイ・コナなども塩との相性が良いとされています。
焙煎度については、浅煎りのコーヒー豆が適しています。浅煎りのコーヒーは酸味が強調される傾向があり、塩を加えることによる味の変化が分かりやすくなります。また、古くなってしまったコーヒーは苦味が増してしまいがちですが、塩の抑制効果によって苦味が和らぎ、飲みやすくなる可能性もあります。
次に重要なのが、使用する塩の種類と量です。塩コーヒーには、海水のみを使用した自然な塩がおすすめです。にがりが含まれている塩を使用すると、塩味だけでなく余計な苦味が加わってしまうことがあるため注意が必要です。量は「ひとつまみ程度」が適量です。あまり多く入れすぎると塩気が強くなりすぎて味を損ねてしまいます。
具体的な作り方は以下の通りです:
- 通常通りにコーヒーを淹れます(ドリップ、フレンチプレス、エスプレッソなど、お好みの方法で構いません)
- 淹れたコーヒーに、ひとつまみの塩(0.5g程度)を加えます
- よくかき混ぜて、塩を完全に溶かします
- そのまま温かいうちにお召し上がりください
初めて試す場合は、少量の塩から始めて、徐々に自分好みの量を見つけるとよいでしょう。また、砂糖やミルクと組み合わせることも可能です。特に塩と甘味の組み合わせは相性が良いため、砂糖と塩を両方加えることで、より複雑で深みのある味わいが楽しめます。
世界各国に存在する塩を入れるコーヒーの飲み方いろいろ
塩コーヒーはエチオピアだけでなく、実は世界各地に様々な形で存在しています。それぞれの地域の文化や好みを反映した塩を入れるコーヒーの飲み方を見ていきましょう。
アメリカでは「海軍コーヒー」と呼ばれる飲み方があります。これは濃いめに抽出したコーヒーに少量の塩を入れるというシンプルなものです。アメリカ海軍の船上では真水が貴重だったため、淡水を節約するために海水で淹れたコーヒーが起源という説や、長時間航海していると水が劣化して苦くなるため、その苦味を和らげるために塩を加えたという説があります。
インドでは「インディアン・コーヒー」と呼ばれるカフェオレスタイルがあります。これはミルクとコーヒーと砂糖に加えて、少量の塩を入れるのが特徴です。インドの気候は非常に暑いため、塩分補給の意味合いもあったと考えられています。
北欧やスウェーデン、アフリカ、ギリシャでは「ボイル」というコーヒーの淹れ方が見られます。これは粉末のコーヒーを直接お湯で煮出す方法で、その際に岩塩を入れることがあります。特に硬水の地域では、水の硬さを調整し、コーヒーの旨味を引き出す効果があるとされています。
カリブ海地域でも塩コーヒーが一般的に飲まれています。熱帯の暑い気候の中で働く人々にとって、汗で失われる塩分を補給する役割も果たしていたと考えられます。特にハイチでは、コーヒーに塩とスパイスを加える独特の飲み方が存在します。
中東地域、特にトルコやイエメンでは、カルダモンなどのスパイスとともに少量の塩を加えることがあります。これにより、コーヒーに複雑な風味が加わり、強い苦味と酸味のバランスが取れるとされています。
これらの例からわかるように、塩とコーヒーの組み合わせは決して珍しいものではなく、世界各地の文化や気候、水質などに応じて自然と生まれた知恵と言えるでしょう。地域によって使用する塩の種類や量、他の材料との組み合わせは異なりますが、共通しているのは塩がコーヒーの風味を調整し、飲みやすくする効果を持っているという点です。

塩珈琲豆大福は仙台発の和と洋が融合したスイーツ
塩とコーヒーの組み合わせは飲み物だけでなく、スイーツの世界にも広がっています。その代表例が「塩珈琲豆大福」です。これは仙台市に本社を置く服部コーヒーフーズ株式会社が2015年に開発した、和と洋が融合した革新的なスイーツです。
服部コーヒーフーズ株式会社は1955年創業の老舗コーヒーロースターで、東日本地区全域の飲食店にコーヒーやチーズ、調味料などを販売する食品卸会社です。同社が「仙臺杜の香り本舗」というスイーツブランドを立ち上げた際の第一弾商品として誕生したのが、この「塩珈琲豆大福」でした。
この商品開発には興味深いエピソードがあります。通常、コーヒーに合わせるスイーツというと洋菓子をイメージする方が多いでしょう。しかし、服部コーヒーフーズの代表取締役社長は「コーヒーに合う和菓子があってもいいのでは」という発想から、あえて大福というフォーマットを選んだそうです。
「塩珈琲豆大福」の特徴は、こだわりのコーヒーと塩が練り込まれた粒餡です。開発者によると、最も苦労したのは「塩と小倉餡とコーヒー味のバランス」だったとのこと。白餡ならコーヒー味がすぐに付くのですが、あえて小倉餡のつぶにこだわったため、味の調整に苦労したそうです。
使用している塩は、宮城県石巻産の「伊達の旨塩」というミネラル豊富な塩です。これを加えることで甘味がスッと引き、甘いものが苦手な方でも美味しく食べられる絶妙なバランスを実現しています。コーヒーは同社のオリジナルブレンド「杜の香り」の微粉末を使用。通常のコーヒー粉だとざらつきが出るため、微粉末を採用したという細やかな配慮も見られます。
餅生地にも工夫があり、豆大福の特徴である豆には、蜜漬けした後に「伊達の旨塩」で炊き上げたえんどう豆を使用しています。これが香ばしさと食感のアクセントになっています。また、大福の中にはコーヒーと相性の良いクリームも入っており、和と洋の融合を楽しめる一品となっています。
この商品は発売後、「新東北みやげコンテスト」で入賞し、JALの国内線ファーストクラスのデザートにも採用されるなど、高い評価を得ています。現在は「塩珈琲大福モカ入り」にリニューアルされ、さらに風味がアップした状態で販売されています。
対馬の塩カフェオーレはミネラル豊富な塩が特徴
「対馬の塩カフェオーレ」は、長崎県対馬の特産品を活かした独創的な飲み物です。これは牛乳で割って飲むカフェオーレベースで、対馬産の「浜御塩」というミネラル豊富な塩が加えられています。
YELLOW BASE COFFEEというコーヒーショップが手掛けるこの商品は、塩がミルクの甘さやコーヒーのコクをより一層引き立てる効果があります。通常のカフェオーレと比べると、塩の効果で風味がまろやかになり、コーヒーの苦味が抑えられているのが特徴です。
対馬の塩カフェオーレの原材料は非常にシンプルで、甜菜糖・コーヒー・塩のみで構成されています。保存料や香料などの添加物は使用されておらず、素材本来の味を大切にした商品設計になっています。
美味しい飲み方も簡単です。カフェオーレベース30mlに対して牛乳150mlを加えるだけで、本格的なカフェオーレが完成します。ホットでもアイスでも楽しむことができ、特にホットで飲む場合は、混ぜた後に電子レンジで1分程度加熱すると美味しく召し上がれるそうです。
また、牛乳だけでなく、豆乳やオーツミルクなど様々な種類のミルクと組み合わせることも可能です。特にオーツミルクとの相性は抜群で、YELLOW BASE COFFEEでは「対馬の塩カフェオーレ オーツミルクSET」も販売されています。オーツミルクは植物性の乳製品代替品で、コーヒー専門家によってコーヒー用に作られたものです。
対馬の塩カフェオーレの賞味期限は180日以上と長く、開封後は冷蔵庫で保存し、早めに消費することが推奨されています。ギフトとしても人気があり、中元や内祝いなどにも適しています。
このように、対馬の塩カフェオーレは日本の地域特産品である塩とコーヒーを融合させた、現代的な飲み物として注目を集めています。伝統的な塩コーヒーとは異なるアプローチで、日本人の味覚に合わせた新しい塩とコーヒーの組み合わせを提案しています。
塩とコーヒーを組み合わせたその他のスイーツやレシピ
塩珈琲豆大福や対馬の塩カフェオーレ以外にも、塩とコーヒーを組み合わせた様々なスイーツやレシピが存在します。これらの商品やレシピは、塩がコーヒーの風味を引き立て、甘さとのバランスを取る効果を活かしています。
まず、市販品として注目されるのが「塩バターソフトキャラメル」です。Bacha Coffeeなどのブランドが販売するこの商品は、イズニーのミルク、ゲランドの塩、ノルマンディーのバターやクリームなどのグルメ食材を使った上質なキャラメルです。最も伝統的な製法に基づき、銅の大釜でじっくりと時間をかけて作られており、午後のコーヒーのお供に最適とされています。
「塩バターキャラメルスプレッド」も人気の商品です。これはパンやクラッカーに塗って食べる塩キャラメルで、コーヒー豆入りのバージョンもあります。コーヒーの苦味と塩キャラメルの甘さが絶妙なバランスで融合し、朝食やおやつタイムに楽しむことができます。
家庭で簡単に試せるレシピとしては、「塩キャラメルコーヒームース」があります。コーヒーゼリーの上に塩キャラメルソースを加えたムースをのせるこのデザートは、層になった異なる食感と塩・甘味・苦味のバランスが楽しめる一品です。
「塩コーヒーアイスクリーム」も興味深いレシピです。通常のコーヒーアイスクリームの材料に少量の高品質な塩を加えることで、コーヒーの風味がより引き立ち、甘さがまろやかになります。特に夏のデザートとして人気があります。
また、「塩コーヒークッキー」も簡単に作れるスイーツです。通常のクッキー生地にインスタントコーヒーと少量の塩を加えることで、深みのある風味に仕上がります。チョコレートチップを加えるバリエーションも人気です。
塩とコーヒーの組み合わせを活かしたドリンクレシピとしては、「塩キャラメルコーヒーラテ」が挙げられます。エスプレッソに塩キャラメルシロップとスチームミルクを加えたこの飲み物は、カフェでも提供されることがあります。
これらのレシピや商品に共通しているのは、塩がコーヒーの苦味を抑え、甘さとのバランスを取る効果を活かしている点です。塩・コーヒー・甘味の三位一体の組み合わせは、複雑で奥深い味わいを生み出し、多くの人を魅了しています。

まとめ:塩とコーヒー豆の意外な組み合わせが生み出す効果と美味しさ
最後に記事のポイントをまとめます。
- 塩の容器にコーヒー豆を入れる主な目的は乾燥剤として機能させるため
- コーヒー豆の多孔質構造が湿気を吸収し、塩の固まりを防止する
- コメダ珈琲店など多くの喫茶店では、塩入れにコーヒー豆を入れるのが一般的
- コーヒー豆の代わりに米を使用する店舗もあり、どちらも湿気取りとして有効
- 深煎りのコーヒー豆ほど多孔質構造が発達し、より高い吸湿効果が期待できる
- 塩がサラサラになる期間は、コーヒー豆の量や保管環境によって変わる
- 家庭でも簡単に実践でき、固まりやすい調味料の保存に活用できる
- 塩コーヒーはエチオピア発祥の伝統的な飲み方で、酸味や苦味が和らぐ
- 塩コーヒーの美味しさは「抑制効果」という味覚現象によるもの
- 世界各地に塩を入れるコーヒーの飲み方が存在し、それぞれ文化的背景がある
- 塩珈琲豆大福は仙台発の和洋折衷スイーツで、コーヒーと塩が練り込まれた餡が特徴
- 対馬の塩カフェオーレはミネラル豊富な対馬産の塩を使ったカフェオーレベース
- 塩バターキャラメルやムースなど、塩とコーヒーを組み合わせた様々なスイーツレシピが存在する
- 塩・コーヒー・甘味の組み合わせは複雑で奥深い味わいを生み出す